降臨伝説と親の愛

ジーザス・クライスト=スーパースター

ジャポニクス・バージョン

 

 キリストの墓が、東北地方の山村に守られています。近くに巨大都市の遺跡が発掘されて、降臨伝説にまた一つ現実味が加わりました。古今東西をとわず、親の愛が子に厳しい選択を迫ることがあります。子は世間の甘言に誘われ、親しい友の優しさに迷います。

 人間イエスが神の愛を受け入れる迄の、苦悩に身を焦がす日々を描いた、心ゆさぶる衝撃と歓喜のジャポネスク・ページェントです。

 

 [ジーザス・クライスト=スーパースター]
−エルサレム・バージョン−

 まぶねの中にうぶ声あげ/たくみの家に人となりて/貧しき憂い生くるなやみ/粒さになめしこの人を見よ/イエス・キリストの生涯をこれほど端的に表現した歌詞は他に見られません。イエスは神の子である以上に、人の子だったのです。もし神の子の自覚を持たされていたなら、最後の晩餐の後にゲッセマネで血の汗が滴り落ちるほどの祈りはなかったでしょう。

 迫り来る十字架の死に「父なる神よ、この苦しみから救いたまえ。わたしは御心に従います。」と祈っています。イエスは自分の「願い」を心の底に収め、父なる神の“健気な子”として「御心の通り」とひたすら従い従順であろうとしています。耐え難い恐怖で十字架につき、その恐怖が頂点に達した時には「父よ、なぜお見捨てになったのか」と叫びます。そして最後には「感謝してお任せします」と言い絶命します。

 イエスの死に臨む気持ちは、若くして死ななければならない人間の気持ちそのものです。神の子ゆえに悩んで生き、そして苦しんで死んだ「人間イエス」を知ることが、神の子をこの世に遺した意思を知るきっかけとなるでしょう。この人を見よ。

 

 

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