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日本人は、中学、高校、大学と10年間も英語を勉強しても英語を喋ることができないと言われています。当然、外国の人たちから言われているのかと思いますと、以外にも外国人が言うのではなく、日本人が自嘲気味に言うのです。なぜ外国人が言わないかといいますと、外国人で他国語を喋れなくてはと思うのは、それを必要とする極く一部の人たちで、ほとんどの外国人は他国語に関心がないようです。ましてや日本人にも日本人が外国語を喋るかどうかなどにもまるで関心がないのが当然というのが実情です。外国の人たちが私たち日本人に関心を抱いてくれると思うのは、私たち日本人の自意識過剰か、あるいは井戸蛙の思いあがりなのかも知れません。
また、日本人が外国語を喋れない理由の一つに、「日本は島国で外国と隣接しないから、外国語を必要としない。日本語だけですべて事足りてしまい、生活するうえで不自由な思いをすることがない。英語は教養として学ぶのであって、英会話学校で学ぶのとは違う」などというのがありますが、あまりにも弁解がましさが目立ちます。そうした引け目心からか、「ヨーロッパの国々は幾つもの国と国境で接し外国人と頻繁に交流するので、誰もが自然と数カ国語を喋れるようになっている」という言いぐさがまことしやかに言い伝えられています。
ところが、EC(ヨーロッパ共同体)委員会が定期的に発行している「ユーロバロメーター・ECにおける世論」と「ヨーロッパ人の社会行動に関する国際リポート」によりますと、外国語の会話を理解できる人の割合(単位:パーセント)を次のように報告しています。 主な国として、まずイギリスで3カ国以上理解できる人(1)、2カ国(5)、1カ国(20)、そして、できない人(74)。フランス人で3カ国以上理解できる人(1)、2カ国(6)、1カ国(26)、そして、できない人(68)。ドイツ人で3カ国以上理解できる人(1)、2カ国(6)、1カ国(33)、そして、できない人(60)ということです。そして、自国語に強い誇りを持つアイルランドとなると、3カ国以上理解できる人(0)、2カ国(3)、1カ国(17)、そして、できない人(80)と意外な結果です。
ついでに、家庭における女性と男性の理想的な役割についての考え方(単位:パーセント)を見ると、イギリス人では、双方が興味深い仕事を持ち、均等に役割分担する(48)、妻は負担の少ない仕事で、家事に重点をおく(31)、夫が仕事を持ち、妻は家庭内にとどまる(18)。フランス人では、双方が興味深い仕事を持ち、均等に役割分担する(45)、妻は負担の少ない仕事で、家事に重点をおく(29)、夫が仕事を持ち、妻は家庭内にとどまる(24)。またドイツ人では、双方が興味深い仕事を持ち、均等に役割分担する(26)、妻は負担の少ない仕事で、家事に重点をおく(34)、夫が仕事を持ち、妻は家庭内にとどまる(32)といことで、やはり意外な結果です。
日本人は外国というと、すぐにアメリカをイメージしてしまい、ヨーロッパはアメリカと違うことに気づかないと言われていますが、この実情から「雇用機会均等法」を持つわが国に自信を持ってもよいようです。それも第2次大戦後、アメリカから「民主主義」を教えられ、それに基づいた「民主教育」で育った団塊の世代が親となり、「男女平等」が自然に定着した結果と思います。しかし、男女平等で教育を受け、均等法で平等に職を得ても、政財界をはじめ日本社会のほとんどが「戦後の民主主義」と無縁な人たちによって支配されていて、「男性優位社会」の屋台骨が「鯛の骨」のように朽ちず残っているので、総合職の女性もある時点で社会構造に頭を抑えられてしまいますし、なんのために頑張るのかわかりにくくなってしまいます。キャリア外交官が皇太子妃になったことを、その象徴と見ることができるのではないでしょうか。
成人に達するまでに「本音と建て前」に気づき、それを使い分けられるようになっていれば起こる問題も少なくてすませられます。しかし、団塊世代の親たちは、受けた教育を建て前として受け止めることができても、本音の部分は誰からも正式に教えられたものではないために、なんとなくであっても確固たる自信を持つことができません。その親たちの子育ては信念をもって自分の考えをわが子に伝えることが難しいために、どうしても「世間の風潮」を参考にしてしまいます。子どもたちが成人年齢に近づいてくると、親たちはいかに理想を現実とに矛盾を少なくして適応させるかを「世の習い」であるとして教えようとします。このような考え方から教育熱心で差別感のない親でも、女の子は短大までで花嫁修行をと考える場合が少なくありません。そしてまた、男の子には無理やりにでも大学へ進学させようとしたりします。
男は仕事で女は家事と育児という「性役割」を当然とした「男性優位社会」へ適応していくための処世術を身につけさせようとしているのでしょう。そしてその常識として、男の子は「端午の節句」を祝い、強く逞しく成長することを願います。女の子は「雛祭り」を祝い、素直で気立て優しく育つよう願います。躾けの方針として、男の子には強く逞しく育って欲しいからと「厳しく」鍛えようとしますし、女の子には従順で温和に育つよう「優しく」遇しようとします。この考え方は正しくて間違ってはいません。しかし、危険が大き過ぎることは近年、社会問題となるほど増加した登校拒否や拒食症など「思春期挫折症候群」の原因の一つになっていることを知れば、それでよいといい切れないことがわかります。
子育てで大切なことは、子供自身が「良い自己イメージ」を持てるように、良い意味での「自惚れ」を感じていられるように育てることなのです。それは、「十分大切にされた」とか「十分に甘えられた」と思えた時に、その感じ持つことができるのです。さらに常識的な考え方からは逆に思えてしまうかも知れませんが、男の子には十分手をかけ大切に育てなければなりません。女の子以上に大切に育てることが大事なのです。男の子には一流高へ入学して一流会社へ就職して欲しいと願うのですから、幾度かの危機を無事乗り切れるよう支えてあげる必要があるのです。男の子が挫折から立ち上がれず、いじけた子になってしまったり、“女の腐ったよう”ではどうしようもないことになります。
人間の子供と同様であることはペットの子供にも言えることですが、オス犬はオス犬らしく、メス犬はメス犬らしく育つようにとの配慮が必要です。オス犬がオス犬らしく育つためには、同様に十分手をかけて過不足なく育てる必要があるのです。オス犬はオス犬らしく、メス犬はメス犬らしくないと、交尾できません。交配しても妊娠しない時に「相性が悪い」といいますが、正しくはメスを従わせられるほどオスが上位でなかったということです。「マウンティング」は性行動というよりは、むしろ社会的地位の確認のようです。
犬の子供が母親犬から離れて遊ぶようになり、新しい飼い主の家に行くころの生後1ヵ月齢は、人間の子供では一歳半ぐらいに相当します。この時期から3ヵ月齢ぐらいまでを人間の子供では四歳半ぐらいに相当しますが、「人間に馴れさせる」期間と考える必要があります。母親犬に代わって養育する飼い主は十分に手をかけて可愛がるのは当然ですが、家族以外の人たちにもできるだけ多く会える機会を与えてあげて欲しいのです。この期間にたくさんの人に接する機会を持ちませんと、「人見知り」をする犬になってしまいます。おおぜいの人が出入りする家でしたら、自然と「人馴れ」してしまいますが、ほとんど訪ねてこないような家でしたら、それなりの工夫が必要です。
ワクチンと免疫の関係で散歩に連れ出せない時期であっても、他の犬が立ち入る可能性のない場所の公園や遊園地へ連れて行けば、おおぜいの子供や大人に遊んでもらえます。3ヵ月齢から五ヶ月齢のころ人間の子供では幼稚園から小学校低学年のころ、そのころには自動車に乗せて山でも川でも海へでも、どこへでも連れて行って欲しいのです。こうして家族と一緒にいろいろな場所を経験すると、自信が持てるようになり、積極的な行動がとれるようになるのです。子供やお父さんが積極的にペットを飼いたいといって飼うようになっても、子供やお父さんはまったく面倒をみないで、お母さんばっかりが世話をしているということはよくあることですが、そうした時、お母さんにばかり懐いてしまい、お父さんや子供には懐かなくなって外来者や見知らぬ人には吠えるようにもなってしまいます。
自慢したくなるほど素直で可愛くても、それが家族の前だけであって、よその人には怯えて警戒的な態度を示してしまうのでは、自慢のしようがありません。留意して育てたつもりでもこのように臆病で「人見知り」するようになってしまった場合の矯正法は、次のような方法が効果的です。なるべく広い部屋に応接セットのようなもので、一人しか座れない椅子2脚(AとB)と、二人以上座れる椅子1脚(C)を用意しておきます。そして、犬とは初対面となる人に遊びに来てもらいます。
来訪者を招き入れ、初めお母さんは(A)に座り、外来者は(B)に座ります。犬は外来者を警戒し、唸ったり、時に吠えたりするかもしれません。そして、お母さんにできるだけ近寄ろうとし、膝に乗ろうとするかもしれません。しかし、できるだけ犬の存在は無視してください。次に二人は席を立ち、お母さんは(C)に座り、外来者は(A)に座ります。この時も犬をなるべく無視して行動しますが、犬は喜んで(C)に座ります。しばらくしてお母さんは(B)に座ります。犬は(C)に座ったまま、なるべく(B)に近づこうとします。そこで外来者は(C)に座ります。犬は一瞬びっくりするでしょうが、お母さんの穏やかな表情に変化がないので安心し落ち着きます。
落ち着いたころに外来者はさりげなく犬の背中を軽く撫でてあげます。この方法は、面倒くさがらず実行すれば、必ず効果があります。可愛い子には旅をさせろと言います。愛され守られていると感じている子は勇んで旅にでるでしょう。しかし、そうでない子は、旅に出るよう勧められたら見捨てられる恐怖を持でしょう。「分離不安」は「北風」では解消できません。(つづく)
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