動物行動学のパイオニア:平岩米吉 



              

動物行動学者:平岩米吉

 明治31年(1898年)に、東京亀戸の豪商(竹問屋)に長男として生まれる。 幼い時から川端玉章画伯に師事して日本画を学んだほか、博物学、動物学、心理学、 国文学、仏教学を独学。邸内に家犬のほか、犬科、猫科、ハイエナ科、 ジャコウ猫科、熊科、などの野性動物を飼育して、博物学的視点から動物の行動を研究した。 研究の進展に伴い関心が動物学的から心理学的へと変遷し、現代の動物行動学にとっての 創始的研究実績を数多く残した。
 昭和3年(1928年)に、日本犬保存会の設立に参画し、昭和9年(1934年)に、 動物文学会を創立。動物文献の収集整理とともにシートンやザルテンなどを紹介。 同時にフィラリア研究会を作り、難病克服の道を開く。
 昭和12年(1937年)に、犬科生態研究所を発足。イヌの行動研究を主活動として、 種の保存に重点を置いた啓蒙活動ならびに私財を投じての動物愛護活動に尽力した。 昭和61年(1986年)没。
 「刷り込み」として広く知られる刻印づけ(inprinting)を提唱して、 動物行動学の創始的権威としてノーべル賞を受賞したロレンツ( K,Z,Lorenz)と同時代に活躍し、 優るとも劣らぬ研究業績を残したが、日本動物心理学会はそれを評価せず、 動物文学者として高く評価し遇したのである。




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