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第9巻6号(通巻98号)平成11年06月20日

  

 

  ついに梅雨入りしました。朝起きましたらパラパラと小雨が降って、梅雨らしく午前中はどんよりとした曇り空です。曇っていてくれたらシメタもので、日中でもワンたちの散歩ができます。フンガフンガと鼻を鳴らし、つぶらな十八の瞳が無言で圧力をかけて来ます。ちょっとでも行って来れば治まるだろうからと、昼休みに多摩川へ行きました。ところが行っている間はまったくのカンカン照り、炎天下の河川敷は暑い暑い暑い。ワンたちは暴れまわっていても、ほどよく泳いだり水に浸かっているので、涼しい顔をしています。しかし、渓流釣り用の太腿まである長靴を履いているハク爺は、あまりの暑さで茹で上がったタコのような顔をして、汗ダクで案山子のように立っているのです。多摩川での写真は冬のものばかりだったことに気づき、カメラを持参して集合写真を撮ろうとしましたが、暴れまわっていて応じてくれません。フイルムの初めに上の桜が写っていました。家の前を二階から写したものですが、日付を見たら去年の桜でした。

 炎天下の多摩川にただ一ヵ所のオアシスは、ゴルフ場の崖下の日陰です。支流の大栗川が左方から流れて来ていて、葦原の向こうにある本流と右方で合流しています。写真中央の右下は水に浸かりっぱなしのタロウ爺さんです。流れを渡って来てしまうとファミリーの独占地となります。途中にバード・ウォッチングの観察小屋があるので、人影がある時は全員小さくなってスゴスゴと通過します。しかし、このところカモやサギがいてしまうと、がぜん静寂が破られて爆竹9本に火がついたようです。鳥猟犬に追いかけられた経験の無い日本の野鳥たちは、ギョッとさせられるまでは真剣になれません。追いかけられてもパッと飛び上がり、2〜30メートル飛ぶと平気で着水してしまうのです。ところが、若者グループはほとんど同時にそこへ追い付いてしまいます。びっくりして必死に逃げてくれればよいのですが、困ったことに、時々その場に失神してしまうのがいます。勝ち誇ったように口にくわえて来るので、手のとどかない枝に乗せて置きます。気がついた時はまさに豆鉄砲をくらった鳩のように、真ん丸な目をさらに丸くして驚きを全身で表わします。この辺の野鳥はだいぶ賢く慎重になって来たようです。  


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