多摩川は魚影が濃くて、大きな野鯉がいるので知られています。緋鯉や錦鯉もいるのは養鯉場から稚魚の時に逃げ出したためでしょうか。たぶん"およげ鯉焼くん"でしょう。背ビレを出してバチャバチャ逃げる鯉をからかうように追い続け、深みに逃げ込むまで追い続けます。皆はここで諦めますが、エリカは引き続き追い続けます。そして、深みに逃げてひと安心したところを、タロウ直伝の素潜り漁法でエリカは鯉を捕まえます。  

 身体の重いエリカは、地上よりも水中に活躍の場があると考えているようです。カナダ北東部で水猟犬として活躍していた先祖のDNAが、水辺に来ると騒ぎだすのでしょうか。ハナコとマサコはいつも足元にいて、写真が撮りにくいほどです。せっかく広々とした処で思う存分遊んでほしいのですが、ぴったり張り付いて離れようとしません。指示するとマサコは暫く遊びに行って来ますが、ハナコは知らん顔をしています。気絶したカモを高枝に置くと、気になって仕方ないようです。 

 意識が戻って飛び立つまで、じーっと見守っています。そして、飛び去ってしまうと、各自が興味ある方向へ散って行きます。サニー、アレックス、ソニア、そしてマリエは要注意で、行った方向を気にしていなければなりません。姿が見えなくなるほど遠くへ行ってしまうのです。泳いでいるカモを追いかけて、多摩川本流を渡って対岸に上がってしまうこともあります。対岸の土手の上をゴマ粒のような数頭が疾走している姿を遠望して、ドキッとさせられてしまうこともあります。大声で呼び戻しますが、声が届いているかは判りません。勝手なことをしていながらも気にはしているようで、呼ばれると、やろうとしていることを中断して、急いで駈け戻ろうとして、急流に流されたりしています。


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