タロハナの新居に山田ボニーと木村キャサリンがお泊まりしていましたが、木村キャサリンと入れ代わりに西谷ラブ(黒ラブ 4才 メス)がお泊まりにやってきました。西谷ラブは丁度「さかり」が始まったところで、タロウの子どもが欲しくてお泊まりにやってきたのです。交尾に適しているのは、メンスが始まって10日目と12日目ですが、いきなり初対面で交尾させるよりとの人情による配慮から、早々とやって来ました。

 タロハナ家にお泊まりに来るお客さんは偶然にもメスばかりで、そのカシマシさに閉口したのか、タロウはベランダか北の離れに独りボーッとして哲学者風の雰囲気を漂わせて「孤高の人」をやっていましたが、魅惑的な香りを漂わせた西ラブの出現にタロウのどんぐり眼は真っ赤なハート型にかわり、だらしなく涎を垂らしながら匂いを嗅いだりお尻を舐めたり、うろうろソワソワつき纏い「孤高の人」はどうなったのと言いたくなる程でした。

 サンドリンハム・トランプの柳沢さんにお出でいただき「交配術」の実技を実地訓練していただきました。西谷家のご両親とお兄ちゃん、柳沢さんのお弟子さんらしき人と見学者が多く絵になる光景でした。気位が高くウーマン・リブの闘士のような西ラブは交尾に応じるのは軍門に下るように思えてしまうのか、誘う素振りを見せてもいざの時には拒絶してタロウをいらつかせ、後見人のハク爺からみると気の毒なほどでした。

 桑田ラブがお泊まりにやってきて、こういった状況に面食らい溶け込むには若すぎたのか、食事時以外はほとんど北の離れに先日までのタロウのようにしていました。慣れるにつれタロパパとハナママばかりでなく山ボニと西ラブの小母さんたちにも「遊んで」とつき纏うようになりました。

 ところが、タロウに強引に迫られ屈辱感で苛立っていたのか西ラブが、桑ラブにいきなりマウンティングしたのです。西ラブはハナコにもしようとしましたが、ハナコは背毛を逆立てウーッと唸り拒否しました。マウンティングは性行為のように思ってしまいますが、性行為という意味合いよりも社会的地位の確認の意味が強く、上位であることを認めさせる儀式のようです。 これは性社会学的にも納得でき、学問的にも新しい知見のようです。 

 

 

  

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