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政府が少子化対策として、3世代同居に力を入れているようです。政府が閣議決定した少子化社会対策大綱に盛り込まれたのが、世代間の助け合いを目的とした「3世代同居・近居」の促進でした。内閣府の調べでは親との同居を望む人が20%ほどいますが、実際の同居率は低くそのギャップを埋めるためとのことです。同居している夫婦のほうが当然のように出生率が高いようですが、同居していると「早く孫の顔が見たい」との圧力を受けますので、子どもを産むつもりのある夫婦が同居すると云うことなのでしょう。祖父母が自分たちの子育て経験を押し付けないよう、母子手帳ならぬ「じじばば手帳」を配布する配慮もあるようです。
子育てで成果をあげている地方県の同居率と共働き率は高く、働く母親が祖父母の支援を受けながら子育てする環境が整っているようです。厚生労働省の国民生活基礎調査による3世代同居の割合は、1986年には15.3%でしたが2013年には6.6%になりました。現時点の高齢者は年金が充実しているので、別居もし易い状況にあるようです。子育て支援を期待する若い夫婦は親の近くに住む「近居」を選んでいますが、「同居」を選ばないのは介護が先延ばし出来なくなるからのようです。子育ての支援はして欲しいが、介護はしたくないという気持ちが現れているようです。
地価が高い都会地でも3世代同居を増やそうとするのでしょうが、子どもが結婚して孫がいて都会で3世代同居できる家族は富裕層に限られます。日本は結婚を前提にした持ち家政策を進めてきましたが、バブル崩壊後所得が減り家を持てない人が増えました。同居できる家族や持ち家がある人ばかりではありません。政策の効果を高めるには抜本的な見直しと、きめ細かい配慮が必要だろうと思います。
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