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むかし「あすなろ物語」という映画がありました。どんなストーリーだったかはおぼろげで、はっきりとは覚えておりません。しかし、その時の「あすなろ」とは、明日は檜になろう、明日成ろう、そして「翌檜」という漢字が充てられているものの、決して檜にはなれず「あすなろ」のままでいるというはなしを何故か鮮明に記憶しております。
ここでなぜ「あすなろ物語」かといいますと、ここ数年私のまわりに「結婚したい」といいながら、まるで結婚する気がないとしか思いようのない“適齢期”の男性が目についたためで、さらに詳しく観察するつもりもなく観察してみると、痩せたいといいながら痩せる気のさらさらない女性達のように、今年こそ禁酒をする今度こそ禁煙をすると何度でも誓いをたてるお父さんのように、「営業努力」の必要性を、そのようなものが存在するということすら知らないで毎日営業に出ている新人セールスマンのように、明日こそ素晴らしい女性と出会いたいと願いつつ絶対に出会えないような行動をとっている彼らを見て「あすなろ族」名付けたくなってしまったのです。
A君は35才もちろん独身、区役所建築課の係長、35才で係長になれたのは同期の中ではかなり早いほうであるとのこと。一級建築士の試験に合格しているのが出世を早めたようです。中学高校一貫教育の私立進学校の出身で、その時の仲良しグループが未だに熱い男の友情に結ばれていて暇さえあれば集まりあっているようです。さすがここ数年不義理をしていた者たちが婚約したり結婚すると、A君の心境は落ち着いていられなくなりました。そのような気持ちでいるところで仲良しグループの既婚組から「どうなっている」と問いただされ、いままでまるで関心を持たずにいた同じ職場の30才になる女性にいきなりプロポーズ。
どうやら「30才になっても独身でいるのだから、結婚を前提にして交際するのでなければ失礼になるのではないか」と既婚組からいわれたようで、「結婚を餌に釣られるような女じゃない」といわれながらも結婚を前提とする交際を求め続けております。「いきなり結婚を前提にといわれても返答に困る、まずは友達として気楽な立場で交際したい」といわれても彼女の気持ちは理解できないようです。
B君は28才やはり独身、コンピューター・ソフト会社のプログラマーで若い女性オペレーターやパンチャーたちを指導する立場にあり、彼女らから交際を求められることが皆無とは思えませんがB君は皆無と思っており、デートに誘っても応じてくれるとはとても思えないといいます。 ところが最近30才過ぎても結婚できずにいる男性が増えていると聞いて、今から努力しなければと考え数十万円也の入会金を払って毎月お見合いをしているようですが、1回デートしただけで断ってしまっているようです。どんな女性と出会えたら結婚する気になるのかと尋ねてみましたら、「南野陽子か原田知世のようなお嬢さんタイプが好みだ」といいます。
このまま見合いを続けていて南野陽子か原田知世のようなお嬢さんタイプに出会えるかと尋ねてみると「分からない」といいます。結婚相手というものは、どんなに幅広くから探そうと思っても極めて狭い範囲内からということになるでしょうし、結婚しても良いと思ってくれる人の中から選ぶしか無いという「あたりまえ」に気付いて欲しいと思います。日本昔話にある、「ねずみの嫁入り」はいろいろ教えてくれると思います。
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