「美人の実証研究」(その3)

 

 

 美人の性格評価という実験(実験3)があります。若い男性に同世代の女性の写真を見せて、その写真の女性の性格をたずねるというものです。他にはなんの情報も与えられていなくても、ある傾向をもった評価が出るのです。写真雑誌やファッション雑誌などから選び出した50名を、どちらがより美人かと比べる一対比較法という手技を用いて、さらに13名に絞ります。その13枚をスライドにして、被験者である男子大学院生らに提示します。

 それを予め3段階に分けておくと、最も美しい女性グループの性格評価にまじめ、誠実、親切、協調性、暖かい、温和、明るい、優しい、大人しいという印象が他の2グループより有意に集中していることが認められます。この性格評価の実験結果から、美しい女性は望ましい性質をもつと思われています。しかしその反面、美しい女性は意志が弱く自信に欠けると評されています。意志強固であるとか自信満々という男性特性は美しさと反比例しているようで、美人はひたすら可弱く女っぽく見えるようです。

 美人の好意度という実験(実験4)があります。プラスの評価を告げた相手には好意を感じ、マイナスの評価を告げた相手には好意を持てませんが、その相手が美しい女性である時には好意度にどう影響するかというものです。若い男性被験者は性格テストを受け、その結果を女性実験者Aから知らされた後に別の女性実験者Bから女性実験者Aの印象を教えてもらうという方法です。

 「よく適応しており、真面目で周囲の人たちとうまくやっていける人柄(プラス評価)」と「未成熟で浅はかで、内省に欠けている創造性に欠ける人柄(マイナス評価)」を実際のテストの結果と無関係に告げます。女性実験者Aに示した好意度の平均得点は、プラス評価を告げた美人3.67非美人1.42、マイナス評価を告げた美人1.08非美人1.17であって、得点が高いほど好意度が高いことを意味しています。

 この結果から「外見の美しさが印象を正負 両方向に増幅させている」ということができます。美人であるが故に不当な決めつけを被る例として、美人は容姿を鼻にかけてプライドが高い、美人は人に冷たくて母性に欠ける、美人は結婚では得するがよい親になれるとは限らない、美人は容姿を武器にして不正をはたらくと厳しい処罰をうけるなどがあり、美人に生まれて気の毒と感じるほどです。さらに自信度が評価に与える実験(実験5)では、初対面の女性の外見からどのようなことを読みとって好意を感じるか、家庭的、美しさ、活発さ、しっかりさを指標としてその結果を分析しますと、自信度の高い男性も自信度の低い男性も共に優しくて家庭的な印象を与える女性に好意を持ち、遊んでいそうな女性は好みません。

 しかし、自信度の低い男性はしっかりした女性を好みますが、自信度の高い男性はしっかりした女性を敬遠します。自信ある男性はデートを断られる心配をしませんが、自信のない男性はデートを受けてくれそうな女性に好意を感じています。美人は頭がよいスポーツが得意というのと同じに生得的なものであっても、それらと同じに遇されていないようです。きっと美人はお金持ちと同じ扱いを受けているのかも知れません。気前のよいお金持ちはチヤホヤされ、しぶちんのお金持ちは嫌われます。しかし美人はどうしようもないまま、勝手に好意を持たれたり嫌われたりしてしまうと考えられています。

 ところが、美人には容貌と表情と共に美しい美人と、容貌が美しくても表情が美しくない美人と、容貌が美しくなくても表情が美しい美人と3通りあるようです。

 

  

 

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