カッターナイフ事件と大人の身勝手

 

 またもと思わされてしまう事件が起こりました。事情が判らない大人たちは、隔絶されたインターネットでの情報交換に原因を見い出そうとしています。あたかも、ネットでの情報交換さえ無ければ、事件は起こらなかったとでも言いたそうな様相です。それは、木を見て森を観ないふうでもありますが、大人たちに事実を直視したくない気持ちが働いているようです。

 テレビや新聞などの事件報道を詳しく調べますと、加害女児がバスケット部を退部した3ヶ月ほど前から顕著な変化を示していたようです。明朗で快活だった少女が、クラスメイトを罵しったり暴力を振るったりするような、カッターナイフをちらつかせて脅すような粗暴な行動を示すよう急変したことを教師も保護者も知っていたようです。

 憤り苛立ち「頭を壁に打ち付けていた」ことを教師は知っており、保護者は「うちの子は恐い」と洩らしていたようです。このような状況にある女児をなぜ放任していたのかと驚きますが、実感として「どうしてよいか判らなかった」と言うのでしょう。

 スクールカウンセラーの危機介入が機能しなかったのか、そもそも精神保健の危機管理という意識が担任教師と学校長に無かったのではないかと疑問が残ります。保護者はなぜ保健所や児童相談所などへは行く気にならなかったのかと疑問が残ります。子どもに自信を持てない大人たちは、子どもの友だちであるかのように振舞います。

 そして、保護者であることや、教師であることを放棄しています。そのために、天涯孤独の孤児のように孤独と不安を募らせてしまうのです。家事に多忙な母親が、乳幼児にテレビを見せて置くことの是非が話題になっています。かつての母親は、我が子を背中に括りつけて勤しみましたが、意識せずに触れ合いを大切にしていたのでしょう。

 子どもの問題行動は家庭教育と学校教育の不備によるものと自戒して欲しいものです。多忙を理由にしたら、いくらでも手抜きが出来てしまうからです。

 

 

  

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