女児誘拐と"一夫多妻"集団
      

 

 社会の安寧を脅かす事件が続発しています。小学校低学年女児の下校時が狙われ、誘拐され殺されるという痛ましい事件には親も学校も困惑しているようです。高学年児童の下校時まで学童クラブや校内に留めておき、保護者や老人クラブのお年寄りなど地域の人たちが付き添ったりパトロールなどで、集団登下校を見守るようになりました。
 今までは交通事故に遇わないよう配慮した通学路でしたが、急きょ変質者が事件を起こしそうな場所を総点検して、街路灯を設置するなど対策をとったようです。犯罪が起こり難いような環境整備は、急速に進んでいます。

 しかし誘拐の犯行現場が目撃されることは殆ど無いので、犯行の実態や動機が白日に曝されることは滅多にありません。そのために女児たちが変質者に襲われるという、成人女性が痴漢から受けるそれと同じようなイメージを世間に持たれています。そのために防犯ベルを持たされるなど、焦点のずれた対応がなされているようです。
 最近起きた事件で犯人は、女児に「XXの写真があるよ」と声をかけて携帯電話の画面を見せて誘ったようです。犯行現場に誘い込む手口は暴力では無く、甘言だったのです。

 また一夫多妻というショッキングな集団の存在が発覚し、世間もマスコミも猟奇的な興味の対象にしています。女性たちがマインドコントロールされているためであって、彼女たちの意志がまったく無いかのような解釈をしています。親たちは家の外から「XXちゃんを返して」と叫び、誘拐された娘を救出したいと訴えます。世間もマスコミも、北朝鮮の拉致事件と同じように考えているかのような対応です。救出するためにはマインドコントロールの呪縛から解き放たねばならないと、専門家と称する人物に解放を試みてもらう茶番が真しやかに演じられています。

 あまり世間に知られていない事実として、居場所と生き甲斐を求める若者が、右翼と暴力団とカルト宗教に吸い寄せられています。戦闘服を着てヘルメットをかぶり街宣車に乗った姿に格好よさを感じるのでしょうが、そうさせて貰える機会は滅多に無く、殆ど工事現場の作業員として働かされています。しかも、活動資金を稼ぐ為という名目で只働きをさせられるのです。

 振り込め詐欺の手先に使われたりして、防犯カメラに写って逮捕されるような”トカゲの尻尾 ”役をやらされ続けます。キャバクラで働かされ、騙されての大借金で売春をやらされるなど、ずるずると引き込まれて取り返しのつかない傷を心と身体に残します。さらに痛ましいのはオウムの事件が示したように、狂信的な集団圧力で人生観も人格すら変えられてしまうことです。

 笑顔と甘言で、小学校からの帰宅途中に誘拐される女児にも、一夫多妻の妻となる女性にも、右翼と暴力団とカルト宗教に吸い寄せられる若者たちにも、共通して「誘われたい」という気持ちがあるようです。受け入れて貰えていない淋しさから、誰でもよいから相手にしてくれる人を探し求めるのでしょう。優しそうな小父さんに遊んで貰えそうであれば、誘いに乗ってしまうでしょう。

 自分の言動が受け入れられて、自分の存在が認められそうだったら、その誘いに乗ってしまうでしょう。成人してからも良い子を強いられて親元を離れることが許されなかったら、不本意な結婚でもすることで親元を脱出するしかないと考えるでしょう。

 世間には、誰にも相手にされず放って置かれていると感じている人が存在します。子どもからお年寄りまで満遍なくいて”独り遊び”が出来ず、常に遊んでくれる相手を探し求めています。気の毒ですが、行政などの一律の対応では満足せず打つ手がありません。可能と思えるのは犯罪の被害者にならないようにするNPO主導のシステム作りでしょう。  

 

 

  

 

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