子育てと国育て

 

 " 親が無くても子は育つ "という言い方があった時代には、子どもはたくさん産まれていました。代々長男に家業を継がせるという考えの裏には、次男か三男の誰かが跡を次いでくれる安心感がありました。

 少子時代の今は、子どもの誰かがという訳には行きません。しかも、子どもに多くを望めませんから、せめて受験勉強は頑張って、そこそこの学校に入って欲しいと願うことになります。よその親が聞いたら垂涎の子どもが、素直でよく勉強し第一志望の大学に入学しました。喜んだ親は、つい欲しがるものを何でも買い与えました。その為もあってか、ちやほや慣れして世の中を甘く見るようになってしまいました。

 勉強はしなくなり、小遣いをせびっては遊び歩きます。しかし留年もせず、すんなり卒業してそこそこの会社に就職しました。仕事はそつなくこなしますが、アフター5のような熱意は感じられません。給料は即使い果たし、当然のように親から小遣いを貰っています。入社して10年になれば、中堅として活躍してくれていなければ困ります。しかし、親にも会社にもパラサイトをし続けます。 

 かつて豊かさを世界に誇った我が国日本は、バブル崩壊という天罰を受けても、今だ世界を甘く見て己にも甘く相変わらずエコノミック・アニマルと世界から揶揄され続けています。大手企業や銀行には余力がありますから、危機感を持たずに放漫経営を続けています。政府が問題を先延ばしにして、資金を注入し続けるからです。構造改革だ不良債権処理と笛を吹いても既得権益をかなぐり捨てて踊り出すヘビなど一匹もいません。デフレのせいだと開き直られ、デフレ対策を優先すると誤魔化されてしまいます。

 経営者も政治家も官僚も、国民の虎の子をいかに消費させるかパラサイトに血道を上げています。親が子育てに失敗したように、国民は日本を健全な国家に育てるのに失敗しました。パラサイトを止めさせ、自立させる為には、遅ればせながら心を鬼にしなければならないでしょう。 

 

 

  

 

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