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この経済危機の回復に心理学的アプローチが有効であると聞いても、俄には信じられないでしょう。しかし、2002年にノーベル経済学賞を心理学者が受賞した頃から、広く知られるようになって来ています。 経済活動と言う不碓実性の下での判断などを、心理学的に実証する「経済心理学」という学問領域が無かったのが不思議なほどです。
芸術や科学技術などの分野で17世紀から19世紀へと連続して特異な「世紀末現象」が起こりましたが、20世紀にそれと思える現象は残念ながら起こりませんでした。20世紀の世紀末には新たなものが出現せず、あらゆる分野にマンネリ感が充満していました。
100年に一度の大不況とも呼ばれていますが、100年ぐらい前のアメリカでは、ライト兄弟が航空機会社を設立しフォードが自動車を大量生産し始めました。日本では、化学調味料の味の素と森永製菓の板チョコと錠菓ピースが発売されました。
20世紀の世紀末現象として、画期的な発明や発見が必要だったのです。せめて購買意欲を刺激するような新商品を、なにがなんでも開発するべきだったのです。高品質・高機能の新製品を高価格で売ろうとするメーカーの思惑と単純で格安な新製品を欲するユーザーとの間に大きな乖離があったのでしょう。本筋を離れマネーゲームに走っての世界同時不況でしょうが、その背景には消費者軽視の企業戦略がこの状況を招いたように思います。単純な機能で低価格のパソコンなどデジタル製品が海外から黒船のように押し寄せ、大平の眠りを目覚めさせられるようで奇遇です。
ネット時代の国際経済は地域格差を需要格差に変えたようですが、需要を探るマーケティングから商機を掘り起こすアイデアが重要です。今回の大不況を乗り切るのには、枯れ尾花が幽霊に見えてしまうような強度の不安を払拭し過剰防衛を緩める手だてが必要です。
経営に法律顧問が必要なように、心理学的助言を受けて不安を軽減し蓄積された心理学のノウハウを経営に活用したらよいでしょう。
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