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新しい服に着替えたら気分も変わりますが、自宅を建替えると人生も変わるようです。しかも、単なるバリアフリーを考えてのリフォームでしたら、人生は変わらなかったでしょう。
ことの始まりは、定年後に耐震技術の資格を取得した友人の耐震検査を受け、やはり耐震工事をした方がよいと言われたことからです。 ついでに老後を見据えてのリフォームも考えましたが、建替えにはためらいがありました。しかし、私たちが住まなくなった家は福祉団体に寄付すれば良いのではという妻の一言で、建替えがあっさり決まりました。
家族が減って夫婦二人の家に造り直すのですから、充分な広さのゲストルームを確保できます。とは言うものの、親戚や友人の家族がつねに泊まりに来てくれるとは思えません。海外の若者に宿泊と食事を提供して、家事一切をやって貰えるというプログラムがあります。これですと、親戚や友人の子どもが遊びに来てくれているようなものです。バックパッカーの救護所という意味合いを持たせることも可能でしょう。
ふと思いついたのは、病院に入院している患者さんの家族の宿泊です。自宅からさほど遠く無いところに大学病院や都立病院があり、全国から入院している患者さんがいます。小児の患者さんには家族が付添わねばならないことが多いので、家族は病院の近くに宿泊していなければなりません。その経済的負担は大変なようです。そこでゲストルームを患者さんの家族の宿泊に提供しようと思いついたのです。
宿屋の親父になれば退屈しませんし、多くの人たちとの出合いは楽しみです。しかも多くの人たちに喜ばれるのですから、物臭にもやれるボランティアだろうと思いました。
ひたすら守りに終始するであろう老後の生活が、自宅を建替えるだけで新たな人生が展開して喜びを与えてくれるように思えます。NPO法人にして、私たちが退いた後は福祉団体として引き継いで貰います。喜ぶ人たちの様子を眺めるのは心地よいものでしょう。
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