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厄年や更年期が過ぎたような年齢になると「近頃の若者」はとか「私達の若い頃は」というふうに誰もが口にしたくなるようですが、年齢を重ねただけで偉くなったかのように振る舞う年配者が多いので、そうは口にしないようにと心がけたいものです。自分達が若者だった頃に比べて、たしかに変化しているのでしたらまだ結構ですが、エジプトのピラミッドや東大寺の天井裏の落書きにも「近頃の若者は」と書いてあったと聞きますので、それがジョークであっても、人類の歴史と共にいわれ継がれてきたに違いないと思いますと愚かしく、間違っても口にしないようにと思ってしまいます。
とはいうものの「近頃の若者」の大胆で無軌道とも思える行動には驚かされるものがあります。そして、それらを知るのはマスコミの報道を通したものが殆どですから、話半分と考えねばなりませんが、それにしても驚かざるを得ません。若い女性が東南アジアや南太平洋のビーチ・リゾートで「強いYEN」にものをいわせ現地の男性をステッキボーイにし「売春夫」にしているそうです。かつて日本人中年男性が韓国、台湾、フィリピンなどへ「買春ツアー」をして、世論の非難の高まりでやむなく中止するまでは、これこそ「慰安旅行」と当然のようにしていたわけですから、「おじさんギャル」たちが「私たちだって」と真似しているのかもしれません。
またアメリカやヨーロッパなどでは、若い日本人女性は「イエロウ・キャブ(黄色いタクシー)」と呼ばれていて、すぐに誰とでも性交渉にまで及び、さらには「楽しませてくれた謝礼」として彼らに金品を与えていると聞くと、常識的な観念ではとうてい理解しにくいできごとです。しかし「近頃の若い女性だから」とあたかも理解できているかのように納得してしまうのでは無く、破廉恥な行動に走る彼女たちに「なぜ」と疑問をもち、その動機と理由を考えてみますと、いろいろなことが見えてきます。
その一つとしては、わが国の歴史とともに営々と築かれてきた「男社会」が、「民主教育」と「男女共学」の成果によって、男性優位の幻想とともにみごと打ち壊されてしまったという事実です。男たちが男社会を守るために作った「規範」が、目覚めて勢いに乗った女たちによって打ち砕かれてしまったことによります。男社会の終焉の兆しが見えてきたことは確かですが、こうした混沌は今後ますます拡がる野火のごとく勢いづき、しばらく続くに違いありません。しかし打ち壊されたままで、新たな社会が見えてこないのは不安です。
若い彼女たちにしかめ顔をして見せて、あとは黙殺というのでは困ります。その行動が黙示するものを感じ取らなければなりません。死に体の既得権にいつまでもしがみついてなどいないで、誰にとっても平等な「フェアな社会」を前提とした「新たな規範」を構築することが大切なことのように思います。
ニホンザルの群が「イモ洗い」をするようになったのも、温泉に入るようになったのも若者ザルが最初です。若者たちから学ぶことも大切なことです。
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