大学全入時代の就活
      

        

 就活とは、もちろん就職活動のことです。就活を重ねていても内定を貰えない学生たちは、景気が悪くて新入社員の雇用数が少ないのだから厳しいのは仕方ないと互いに言い合っています。しかし一人で数社の内定を貰っている者もいるようなので、どうやら企業は育てるという伝統を捨てて即戦力になる人材のみを雇用しようとしているようです。

 面接にどう振る舞ってどう答えたらよいかを講習会などで指導を受けるのが当然のようになって来ています。学生たちは模範回答を台詞のように暗記するので、採用担当者も心得ていて行間を読むかのように面接を進めます。ある就活学生の驚きの報告では、都会の神社仏閣になぜ鳩が集まるのかと質問されたというのです。誰もが知っている正論を答えても仕方ないと思いつつも他に考えが浮かばなかったと言います。回答の内容よりもその反応を見たかったのでしょう。

 グループ討論で指導力を観る方式が普通のようになって来ていますので、アルバイト経験のない学生たちにとっては苦手なようです。グループ討論で抜群の能力を発揮するのは飲食系のベテラン・アルバイターたちです。新人アルバイトたちに接客の仕方を教え、社員のように働いた経験のある学生はさっさと内定を獲得します。指示されたことを確実にやり遂げる身についた習慣が評価されるのでしょう。

 大学全入時代になってからは大学生としての意識が薄く、高校生活と変わらない日々を送ってしまいます。ゲームやアニメにしか興味を示さないのは子供の頃からで、努力を要するものには手を出す習慣が身に付かなかったようです。

 就活も婚活も努力を続けて勝ち取るものですが、大学全入時代の学生の多くは難関を目前にして乗り越えようとする意欲は持っていないようです。就職はしない結婚もしないニートのままでいる状況は、子どものままで親に扶養され続け老々介護まで続きます。

 現実を見据えて仕事を選り好みせず、若者である、日本人である、ということに価値を認めるところがあれば、迷わずそこへ行くべきだと勧めています。

 

 

 

oak-wood@lovelylab.net

http://www.lovelylab.net

 


もどる